日本写真測量学会 関西支部

テクニカルセミナー/第67回空間情報話題交換会の報告


2012年12月7日(金)、常翔学園・大阪センターにおいてテクニカルセミナー/第67回空間情報話題交換会を開催しました。

今回は、『空間情報とベイズ統計 -人物動態の観測から分析』と題して東京大学大学院の布施様からご講演を頂きました。


『空間情報とベイズ統計 -人物動態の観測から分析』

東京大学大学院 布施孝志 氏

キーワード:ベイズ統計、人物動態観測

講演資料:http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0067_fuse.pdf

布施様には、「人物動態の観測」における「ベイズ統計」の適用可能性について、基礎的なお話も交えてご講演頂きました。 ベイズ統計は、カーナビのルート検索やスパムメールの振り分けなど、様々な場面で使われている考え方です。布施様からは、 この考え方を用いてステレオ動画から人の動きを検出する方法についてお話を頂きました。そもそも、ベイズ統計は、例えば、 「風が吹いて(原因)桶屋が儲かった(結果)」という現象があったとして、桶屋が儲かったときに、その原因が「風」であった 確率を計算しようというものです。この考え方を人物動態の観察に応用すると、定点観測によって得られたステレオ動画から、 「ある時点における人物の位置と形状(原因)」を、「画像の色(RGB値)と写真計測から得られた距離(結果)」から予測すること ができるそうです。布施様のご講演では、直接的には観測できない人物の「位置と形状」を予測する「システムモデル」と、 直接的に観測できる「色と距離」を予測する「観測モデル」のそれぞれのモデルの設計についてご解説頂き、たまプラーザ駅中央改札 での実験例をお見せ頂きました。この実験の結果では、78%というかなり高い確率での人物追跡が可能となったことが示されており、 この結果からベイズ統計を用いた人物動態の観測手法が有効であることが分かりました。ベイズ統計は、観測された結果の背後に潜んで いる原因を推測する方法であるため、人物の追跡のみならず様々な用途に適用が可能です。布施様のご講演を拝聴し、 今後の地理空間情報科学におけるベイズ統計の重要性は、益々増大するであろうと感じました。文末ではございますが、 ご講演を頂いた布施様には、心から御礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。