日本写真測量学会 関西支部

テクニカルセミナー/第84回空間情報話題交換会の報告


2016年4月22日(金)、常翔学園・大阪センターにおいてテクニカルセミナー/第84回空間情報話題交換会を開催しました。


『モバイルマッピングシステム(MMS)による河川計測の研究』

株式会社パスコ 橘 菊生氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0084_tachibana.pdf

MMS,河川堤防計測

 第84回テクニカルセミナーでは、「モバイルマッピングシステム(MMS)による河川計測の研究」と題し、株式会社パスコの橘氏に講演いただきました。

 近年、大型台風や集中豪雨から堤防決壊に至るような被害が頻発しており、河川堤防の重要性がますます高まっています。 橘氏は、河川堤防の維持管理の効率化をめざし、 GNSSで自己位置を明かにしながら面的に点群を生成できるMMSの河川計測への適用可能性に関する研究に取り組まれてきました。

 講演では、河川計測におけるMMSの優位性について、レーザ点群の位置精度検証および堤防の変位・変状検出の結果からお話いただきました。 位置精度検証では、GNSS固定局との距離を短く保ったMMSの自己位置解析により、堤防変位の把握に必要な精度が確保できることを、 基準点をターゲットにした点群座標の具体的な数値を示しながら説明されました。 変位・変状検出では、従来手法の縦横断測量や目視点検では難しかった面的な把握ができることを、 点群を用いた解析事例から示されました。一方で、法肩や小段で生じる計測死角といった課題を明らかにし、 この課題解決のために開発した河川計測用MMSを紹介いただきました。さらに、研究を通じて確立された計測技術および解析技術は、 河川計測の高精度化にもつながり、河川堤防の維持管理に寄与できるとの見解を示してくださいました。 今後は、実用化に向けて、計測環境が異なる河川での検証を重ねていく構想を述べ、講演を締めくくられました。

 講演いただきました橘氏には、この場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。