日本写真測量学会 関西支部

平成28年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/第85回空間情報話題交換会の報告


2016年6月24日(金)、常翔学園・大阪センターにおいて平成28年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/第85回空間情報話題交換会を開催しました。


「国土地理院における災害への取り組み」

国土地理院近畿地方測量部・梶川 昌三 氏

 第34回特別講演会・第85回話題交換会では、国土地理院近畿地方測量部の梶川氏と筑波大学の堤氏に講演いただきました。

 はじめに梶川氏にご登壇いただき、国土地理院における@災害時の取り組み、 A東日本大震災と熊本地震への対応、B平常時の防災・減災への取り組みについて紹介いただきました。

 @では、災害対策基本法に基づく指定行政機関として、災害の全体像を迅速かつ正確に把握するために、 空中写真や地殻変動情報といった様々な地理空間情報を提供していることを、 御嶽山の火山災害や関東・東北豪雨での鬼怒川水害といった事例を用いて説明いただきました。 Aでは、東日本大震災での広域的な国土の動きを精緻に捉えた電子基準点による地殻変動情報の提供や、 熊本地震での迅速な災害状況把握に無人飛行機(UAV)を活用した事例を紹介くださいました。 Bでは、防災意識の向上に役立つ土地条件図を紹介され、土地の歴史や性質を知ることで災害に脆弱な地形を把握できることを詳しく説明いただきました。 カスリーン台風や伊勢湾台風といった過去の大きな災害の分析から、旧河道や後背湿地と災害には密接な関係があることを説明され、 国土地理院では、これまで蓄積した過去の空中写真や旧版地形図を利用して、 地震、土砂および洪水の災害と関係性の高い地形を示した土地条件図を整備していることを紹介されました。 土地条件図などの防災・減災に関する地理空間情報は、国土地理院ホームページをはじめ、 国土交通省ハザードマップポータルサイトや総合災害情報システム(DiMAPS)などで簡単に閲覧できるため、 減災の取り組みに役立てほしいとの思いを語られて、講演を締めくくられました。

 ご講演いただきました梶川氏には,この場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。