日本写真測量学会 関西支部

テクニカルセミナー/第86回空間情報話題交換会の報告


2016年10月28日(金)、常翔学園・大阪センターにおいてテクニカルセミナー/第86回空間情報話題交換会を開催しました。


『中小河川河道閉塞時の氾濫被害に関する研究』

京都大学大学院 岡本隆明 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0086_okamoto.pdf

集中豪雨災害,氾濫流計測

 第86回テクニカルセミナーでは、「中小河川河道閉塞時の氾濫被害に関する研究」と題して、京都大学大学院の岡本隆明氏にご講演いただきました。

 近年の集中豪雨による水害は、流下能力が小さい中小河川で多発しており、その多くが流木などの河道閉塞による氾濫被害です。 こうした氾濫被害を軽減するために、岡本氏は、水路模型実験を用いて、氾濫流の危険箇所を把握する研究に取り組まれています。

 はじめに、氾濫流の発生危険箇所と発生時間を正確に調べるために使用したレーザドップラー流速計と粒子画像流速計を紹介され、 氾濫流の面的な流速分布が把握できることを説明いただきました。そして、実際に発生した宇治市志津川の氾濫被害に対して水路模型実験で解析した結果を紹介いただきました。 この被害の特徴は、左右岸に10pの堤防高差がある区間で、低い堤防側にある家屋が流出したことです。 被害地区の地形を再現した水路模型実験結果により、低い堤防側では、木造家屋破壊基準の5倍の力を持つ氾濫流が発生し、 さらに木造家屋破壊の危険範囲が川幅3倍の範囲まで広がることを、流速分布の計測結果から明らかにされました。 最後にとりまとめとして、わずか10pの堤防高差が氾濫被害に大きな影響を与える中小河川では、 正確な地形を把握しておくことが重要との考えを示されて、ご講演を締めくくられました。

 講演後は、たくさんの質疑応答が交わされ、流速計や模型に関する質問と氾濫被害を少なくするための対策に関する活発な意見交換がおこなわれました。 講演いただきました岡本氏には、この場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。