日本写真測量学会 関西支部

平成29年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/第90回空間情報話題交換会の報告


2017年6月30日(金)、大阪府立大学 I-siteなんば において平成29年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/第90回空間情報話題交換会を開催しました。


『点事象データから地域を観る』

東北大学 井上亮氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0090_inoue.pdf

 東北大学の井上亮氏より『点事象データから地域を観る』と題してご講演いただきました。

 はじめに、近年、詳細な位置や時刻などを記録した点事象データの利用環境が拡大してきたことを、 オープンガバメント・オープンデータ施策に基づく行政情報の公開事例を用いて紹介いただき、 こうした点事象データから地域の「今」を詳細な空間・時間解像度で分析する研究に取り組まれてきたことを説明いただきました。

 つぎに、これまでの取り組みの中から点事象が集積する領域や時期の検出を目指した研究を取り上げ、 集積検出の概説と井上氏がこれまで行った提案や分析結果について説明いただきました。 概説では、基本的な理論について、コレラ流行の原因を発見した世界最古の集積検出の事例を交えて説明いただき、 第一種の過誤の発生が増加する多重検定に関わる問題や,多種の点事象分布の関連性を分析する際の課題について指摘されました。 そして、これらの課題を解決するために提案した「空間スキャン統計に基づく分析」と「FDR制御法に基づく分析」の手法と有効性について、 仙台市の居酒屋の集積検出結果や日本の産業共集積の分析結果などを用いて説明されました。

 最後に、今後は、二次利用が可能なオーブンデータやIoT(Internet of Things)の普及により多くのデータが流通することが期待できるため、 こうしたデータから地域のモニタリングに役立てられる分析手法に拡張していきたいと語り、講演を締めくくられました。

 講演いただきました井上氏には、この場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。