日本写真測量学会 関西支部

テクニカルセミナー/第96回空間情報話題交換会の報告


2018年10月26日(金)、大阪府立大学 I-siteなんば においてテクニカルセミナー/第96回空間情報話題交換会を開催しました。


『ドローンリモートセンシングによる水稲の生育管理の可能性』

東北工業大学 牧 雅康 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0096_maki.pdf

水稲,ドローン,生育シミュレーション

 第96回テクニカルセミナー・空間情報話題交換会では, 「ドローンリモートセンシングによる水稲の生育管理の可能性」と題して, 東北工業大学の牧雅康様にご講演いただきました.

 国内の農業の現場では,担い手の高齢化が急速に進み,労働力不足が深刻となっており, ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用し農作業における省力・軽労化を進めるとともに, 新規就農者への栽培技術力の継承等が重要な課題となっています. 近年,圃場全体の生育状態を把握する手法としてドローンによる空撮画像の活用が注目されています. しかし,専門知識や経験の乏しい新規就農者にとって,ある一時期の空撮画像から将来の生育状況を予測することは困難であり, 新規就農者でも利用できるドローンを使用した圃場管理システムの構築が望まれてきました.

 そこで,牧様らは,ドローン空撮画像とリモートセンシングデータを利用した生育予測モデル(SIMRIW-RS)を用いて, 生育の初期の2時期の観測結果から将来の生育状態を予測することを試みられています. ご講演では,これまで使用されてきたドローンの詳細や東北地方での観測事例について水稲栽培での活用を中心にご紹介いただきました. また,生育状態の予測には,ドローン空撮画像の撮影水準を保つ必要があります. そこで,現在は,観測時間帯と天候の条件から撮影の推奨条件の選定を試みられているそうです

 そして,講演の最後には, 長期の生育状態の予測において気象観測データの特に日射量の長期予測結果が必要であることや 広域でのドローンによる同時観測を実現するための制度づくりの必要性について述べられていました.

 ご講演いただきました牧様には,この場を借りてお礼申しあげます.


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。