日本写真測量学会 関西支部

令和元年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/空間情報話題交換会第100回開催記念特別講演会の報告


2019年6月28日(金)、大阪府立大学 I-siteなんば において令和元年度支部総会・特別講演会 テクニカルセミナー/空間情報話題交換会第100回開催記念特別講演会を開催しました。


『イノベーション』

株式会社 パスコ・島村秀樹 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0100_shimamura.pdf

 第38回支部総会に伴う特別講演会(テクニカルセミナー/空間情報話題交換会第100回開催記念特別講演会)を株式会社パスコの島村さまを講師に迎え,開催しました.

 島村さまは,講演の冒頭、「イノベーションとは,ただ単に新しい技術を開発するというような技術革新に限ったことではなく, 今あるものと今あるものを組み合わせ創出されたアイディアを,収益を生み出す事業へと発展させることである」と説明され, 技術の「買い物ゲーム」とも言われてきたこれまでの航空測量業界における技術革新が,本当にイノベーションを起こせていたのかを, 経験に基づいたさまざまな事例を交えて説明されました.

 また、島村さまがこれまで取り組まれてきたことの中でも, 道路路面劣化の定量的計測や国内へのGISの導入,道路台帳のための3次元計測などについては市場の課題に応えられてきこと. その一方で,技術的には革新をもたらしたが,市場性に答えることができなかった取り組みも多く, その中でも特に,リモートセンシングの分野においてイノベーションが求められているなどをお話しいただきました.

 宇宙産業が官主導から民間主導(NewSpace)へと考え方が転換していく中で,2023年には小型人工衛星の市場が今の2倍になり, これまで衛星データの課題であった時間分解能が大きく改善されます.今後は、リモートセンシングをいかに収益が生み出せる事業へと発展させ, そして業界としてのいかに特徴を出すかが重要となります.

 このような背景を説明されたうえで,リモートセンシングが衛星画像の処理に留まるのではなく, これまで整備されてきた各種台帳などの空間情報と掛け合わせるなど,リモートセンシングの視点と近接の視点から社会の問題を解決することで, リモートセンシングを用いたイノベーションが起こせる可能性があり,「身近なところにこそヒントがある」と提言されました.

 ご講演いただきました島村さまには,この場を借りてお礼申しあげます.


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。