日本写真測量学会 関西支部

第101回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2019年10月18日(金)、大阪府立大学 I-siteなんば においてテクニカルセミナー/第101回空間情報話題交換会を開催しました。


『衛星リモートセンシングの実用化へのチャレンジ −  社会実装への視点を交えた事例紹介 −』

国際航業株式会社 赤松 幸生 氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0101_akamatsu.pdf

人工衛星、リモートセンシング、実用化、社会実装

 第101回テクニカルセミナー・空間情報話題交換会では,「衛星リモートセンシングの実用化へのチャレンジ -社会実装への視点を支えた事例紹介-」と題して,国際航業株式会社の赤松さまにご講演いただきました.

 国際航業株式会社では,空間情報を活用し,まちづくりへの提案や気候変動対策への支援といった,グリーン・コミュニティ(安心で安全,そして持続可能な地域・まち)を実現するための幅広い事業を展開されています. ご講演では,さまざまな事業の中から特に,衛星リモートセンシングの実用化に向けて挑戦されてきた事例を「農業」,「森林」,「維持管理」,「防災」の各分野に分け,その導入の経緯と実用化において求められる視点についてご紹介いただきました.

 農業・森林分野では,衛星データが利用者の問題解決に活用できる情報となるよう,データの利用者との対話を通じて問題点を明らかにするといった利用者に寄り添う姿勢や,現地計測の体制を構築するとともに現地にその体制を根付かせるために, 現地ベースでのコンサルティングを重視されてきたそうです.維持管理分野では,干渉SAR(Synthetic aperture radar:合成開口レーダー)によるダム堤体と周辺斜面のモニタリング事例を通じて, 新技術が社会インフラとしてのポジションを確保・定着化するまで,その取組を継続することの必要性についてご説明いただきました. また,防災分野においては被災初期の状況を広範囲から観測するのに衛星データが効果的であるといった,衛星リモートセンシングの特徴を理解した上で,各事業においてその位置づけを明確にすることが求められるそうです.

 ご講演の最後には,今後の世界の動向についてご解説いただいた上で,欧州で行われている衛星データと地上観測データを複合的に足し合わせたデータセットを オープン・フリーで提供する取組である「Copernicus」を日本(アジア)においても作成することの重要性について述べられていました.

 ご講演いただきました赤松さまには,この場を借りてお礼申しあげます.


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。