日本写真測量学会 関西支部

第108回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2021年8月27日(金)、>第108回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告をオンラインにて開催しました。


『地理空間情報技術による森林の計測 〜リモートセンシングとGNSSを中心に〜』

三重大学 松岡真如氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0108_matsuoka.pdf

 テクニカルセミナー/第108回空間情報話題交換会では、『地理空間情報技術による森林の計測 〜リモートセンシングとGNSSを中心に〜 』と題して、三重大学の松岡真如様にご講演いただきました。

 この講演では、1)点群を用いた衛星データの影の補正と2)GNSS測量における面積の精度指標の2つの話題提供がありました。

 1)では、衛星で観測する森林の反射率に含まれる影が画像解析の障害になっている課題と、その対策として松岡様が取り組まれてきた影の補正手法を説明いただきました。実際に研究で使用したドローン撮影写真と写真から生成した点群と示していただくとともに、この点群を用いて衛星画像シーン単位と画素単位で補正した検証結果を説明されました。シーン単位の補正では冬に過剰補正となった傾向と、画素単位の補正では汎用性の低くなった結果をそれぞれ示し、過剰補正の対策として、樹冠による散乱の影響をモデル化する必要があるとの考えを話されました。

 2)では、観測した1つ1つの観測点の位置誤差と面積誤差の関係を解析式として定義し、数値実験により面積の精度評価ができる指標を検証した結果を説明してくださいました。たくさんの数値実験により解析式と実測値を比較した結果から、GNSS測量で得られる位置座標と位置誤差から計算する近似値が、面積測量の精度指標に利用できる可能性が高いことと、今後は実測や数値実験を更に重ねて、実用可能性を高めていく必要があることを説明されました。

 最後にまとめとして、衛星データの影補正で得られる影の情報は、森林情報の高度化に寄与できる可能性があること、GNSSを用いた面積の精度指標は、地形起伏がある森林などで効率的な面積計測に寄与できるとの考えを話され、講演を締めくくられました。

 ご講演いただきました松岡様にはこの場を借りてお礼申しあげます