日本写真測量学会 関西支部

第109回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2021年10月29日(金)、>第109回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告をオンラインにて開催しました。


『土地被覆分類データの空間精度・空間誤差』

埼玉大学 堤田成政氏

講演資料:
http://www.jsprs-w.org/meetings/data/w0109_tsutsumida.pdf

衛星データ、空間的不均一性、地理的加重法、精度評価

 テクニカルセミナー/第109回空間情報話題交換会では、『土地被覆分類データの空間精度・空間誤差』と題して、埼玉大学の堤田成政様にご講演いただきました。

 この講演では、地理的加重モデルを用いたラスタ型土地被覆データの分類誤差評価の試みについての話題提供がありました。

 衛星画像を用いた土地被覆分類において、従来、対象範囲全体でしか誤差の評価がされておらず、具体的にどの場所の分類精度が良いのか悪いのかといった空間的不均一性を表現できない、という課題がありました。この空間的不均一性をどう表すかという課題に話題提供者である堤田様はこれまで取り組んでこられ、話題交換会ではこれまでの取り組みで得られた成果に基づいて講演いただきました。

 堤田様は分類誤差評価で空間的不均一性を表現するために地理的加重モデルを用いた手法を提案されています。この地理的加重モデルの特徴について、堤田様がこの手法を用いて行った分類誤差評価の実例をもとに解説していただき、場所ごとにローカルなデータ分析を行うことで土地被覆データの分類誤差を二次元的に算出できるようになること、これにより従来手法では見逃されていた分類誤差評価の二次元的な分布が得られることを示されました。一方で、提案手法の課題についても言及されました。この中で、ローカルなデータ分析では、局所性を決定づけるパラメータをどのように定めれば良いかの明確な基準がない、分析結果が参照データの分布の仕方によって変わってしまう、といったことを挙げ、土地被覆データの特徴に応じた適切なモデリングの難しさについて話されました。

 講演後の質疑応答では、このようなデータ分析におけるモデルの決定に関する問題も含めたリモートセンシングにおける解析結果についての議論や、民間でのリモートセンシングの導入についての意見が交わされました。

 ご講演いただきました堤田様にはこの場を借りてお礼申しあげます。