日本写真測量学会 関西支部

第114回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2022年8月26日(金)、第114回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会をオンラインにて開催しました。


『貝恷s立ドローン・クリケットフィールドの整備経緯とその目的について〜高度利用化に向けた取組みの紹介〜』

貝塚市 都市政策部政策推進課 永井了 様

講演資料:こちら

『貝塚市版 UAVレーザ測量運用手順要領検討のための数値地図の比較検証について』

一般社団法人GIS支援センター 一氏昭吉 様

講演資料:こちら

 テクニカルセミナー/第114回空間情報話題交換会では、大阪府貝塚市のUAVレーザ測量に関する取り組みについて、貝塚市の永井了様とGIS支援センターの一氏昭吉様にご講演いただきました。

 前半は、永井様より『貝恷s立ドローン・クリケットフィールドの整備経緯とその目的について〜高度利用化に向けた取組みの紹介〜』と題して、貝塚市が整備したドローンフィールドと同市のUAVレーザ測量に関する取組みについてお話しいただきました。
 初めにドローンフィールドの概要についてお話しされ、千石荘病院跡地(せんごくの杜地区)利活用の一環として整備され、鉄道最寄り駅から徒歩約20分、標高約50mに立地し、大阪府内有数の広大な飛行エリアを確保しているとのことでした。
 続いてドローンフィールド設置の経緯について解説していただき、上空障害物がない土地を、災害時や点検・測量分野での活用が進む先端技術であるドローンの技術開発、操作技術訓練、協議会、イベント等の場として提供することで、ドローンを通じた産業の振興を目指しているとのお話でした。またこれと関連して、貝塚市が策定した貝塚市版UAVレーザ測量運用手順要領(案)についても、策定背景や内容を解説していただきました。
 講演の最後には、運用手順要領をブラッシュアップしつつUAVレーザ測量の地元企業、他市町村への展開や災害時のUAV対応といった今後の目標を語られました。

 後半では、一氏様より『貝塚市版 UAVレーザ測量運用手順要領検討のための数値地図の比較検証について』と題して、運用手順要領作成過程での手順検討およびデータ検証についてご講演いただきました。
 初めに、国土地理院の公共測量マニュアルでは成果品要求仕様や作業手法が曖昧で、地方公共団体が災害や日常の業務でUAVレーザ測量を活用するには参考となる具体的な指標が必要だというお話をされました。
 次に作成過程で重視した点についてお話しされ、UAVレーザ測量において点群データの信頼性を確認するために必要な作業、UAVレーザ測量を行う目的、作成するべきデータを明確化することで信頼できる成果物につながるとのことでした。
 続いて貝塚市で行われたUAVレーザ測量の検証について、地物の取得、道路データ作成、地形図作成、水域の水崖線や面積取得、等高線作成といった項目でTS測量との比較結果を詳細に解説していただきました。
 最後にまとめとして、運用手順要領により数値指標や作業手順などの根拠を示し、実際の検証によりUAVレーザ測量の有効性を確認したという到達点を挙げるとともに、数値地図作成に関しての課題も示されて講演を終えられました。

 講演後の質疑応答では、今回行ったUAVレーザ測量検証での地物判読や等高線作成方法の詳細や、ドローンフィールドで行ったキャリブレーションの証明書発行、ボアサイトキャリブレーションでの飛行条件設定などについての意見が交わされました。

 ご講演いただきました永井様と一氏様にはこの場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。