日本写真測量学会 関西支部

第122回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2023年12月1日(金)、大阪公立大学 I-siteなんば に於いて第122回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会を開催しました。


『PLATEAUユースケースにおける流体数値解析の活用』

株式会社ウエスコ 松田 哲裕 様

講演資料:こちら

 テクニカルセミナー/第122回空間情報話題交換会では、『PLATEAUユースケースにおける流体数値解析の活用』と題して、株式会社ウエスコの松田哲裕様にご講演いただきました。

 本講演では、Project PLATEAU(プラトー)で整備される3D都市モデルを用いた流体数値解析シミュレーションのユースケースについての話題提供がありました。
 初めに、松田様が滋賀県流域治水計画検討業務に関わる中で、航空レーザ測量データを使うことで、広域での河川氾濫の浸水想定が出来ることを実感されたというお話をされました。
 次に、プラトーについて紹介されると共に、河川技術者として、3D都市モデルがデータ駆動型の新しい課題解決手段をどのように提供してくのかという視点が大切であるとの認識を示されました。
 続いて、プラトーデータの具体的な活用事例を詳しく紹介していただきました。雪害対策の事例では、3D建物モデルを用いた3次元的な風雪・融雪シミュレーションにより建物ごとの積雪量や熱収支計算による融雪量を推定できることを示され、その結果を除雪作業の効率化や建物の倒壊危険度評価などに利用できるというお話をされました。土石流対策の事例では、プラトーデータを基に地形だけでなく家屋の破壊まで考慮した土石流のシミュレーションを行うことで、土砂災害に対するより現実的な避難所や避難ルートの選定につながるというお話をされました。また、これらのシミュレーションについて、不確実性の説明や地域住民とのリスクコミュニケーションの必要性にも言及されました。
 最後に、自然現象・暴露・脆弱性の組み合わせによる災害リスクとその対策、シナリオ・インシデント・レスポンス・プリペアードネスという災害対策のイメージを踏まえて地域の住民に伝わるサービスの提供を目指したいとの考えを述べて講演を締めくくられました。
 講演後の質疑応答では、シミュレーションでのプラトーデータの標高誤差の影響、AIによる確率的な予測と物理シミュレーションとの関係などについて意見が交わされました。

 ご講演いただきました松田様にはこの場を借りてお礼申し上げます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。