日本写真測量学会 関西支部

2024年度特別講演会・第125回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会の報告


2024年6月28日(金)、大阪公立大学 I-siteなんば に於いて2024年度特別講演会・第125回テクニカルセミナー/空間情報話題交換会を開催しました。


『インフラDX時代を見据えたBIM/CIMの取り組み』

中央復建コンサルタンツ株式会社 森博昭 様

講演資料:講演終了1年後に掲載予定

『文化財分野におけるLiDARおよび3D技術の利活用 -遺跡踏査を中心に-』

奈良文化財研究所 高田祐一 様

講演資料:講演終了1年後に掲載予定

 2024年度特別講演会(第125回空間情報話題交換会)では、中央復建コンサルタンツ株式会社の森博昭様と奈良文化財研究所の高田祐一様にご講演いただきました。

 前半は、森様より『インフラDX時代を見据えたBIM/CIMの取り組み』と題して、BIM/CIMの最新動向と空間情報技術を利用したBIM/CIM活用事例についてお話しいただきました。
 初めに、中央復建コンサルタンツが2007年よりBIM/CIMに取り組む中で、3次元データを「作る」ことから「使う」ことへ発展してきた経緯を紹介されました。
 次に、BIM/CIMの最新動向についてお話しされました。インフラDX、i-Construction、ICT施工、BIM/CIMの関係性やそれらが目指すもの、2023年度から始まったBIM/CIM原則適用の内容や現場での施工研修などについて解説していただき、BIM/CIMにおける発注者・設計者・施工者間でのデータの受け渡しの重要性を強調されました。
 続いて、空間情報を意識したBIM/CIM活用についてお話しされ、「目的(ニーズ)」と「ICT要素技術(シーズ)」を掛け合わせることで「改善(インフラDX)」が実現することを、XR(VR、AR、MR)、SfM、デジタルツインなどを活用した事例を示しながら解説していただきました。また、BIM/CIMやインフラDXによる生産性向上は、新4K(給与、休暇、希望、かっこいい)を実現するための取り組みであるとの考えも述べられました。

 後半では、高田様より『文化財分野におけるLiDARおよび3D技術の利活用 -遺跡踏査を中心に-』と題して、埋蔵文化財行政の現状と遺跡調査におけるデジタル技術の活用事例についてお話しいただきました。
 初めに、国内での文化財調査について、多くの遺跡データがデータベース化・GIS化されてインターネット公開も行われている一方で、蓄積された情報量が多すぎて全体を把握することが困難であるという現状をお話しされました。その上で、今後の調査研究においては高性能で廉価のデジタル機器やオープンソースソフトウェアといったデジタル技術の活用がカギになるとの認識を示されました。
 次に、高田様がこれまで取り組まれた、古墳調査に航空レーザ計測とAIを活用した事例、遺構の現地調査にRTK-GNSS・モバイルスキャン・UAVフォトグラメトリを活用した事例、文化財データを3Dデータの形でインターネット公開した事例について詳しく解説していただきました。
 最後に、文化財調査においてデジタルデータをデジタルのままで扱うことが重要であるとの考えを述べられ、そのために必要なものとして「データリポジトリ」、「3Dデータ公開基盤」、「デジタル時代に合わせた報告書のありかた」を挙げられました。

 ご講演いただきました森様と高田様にはこの場を借りてお礼申しあげます。


※測量系CPD協議会において認定された学習プログラムとして終了後に参加者へ受講書が配布されました。
※GIS上級技術者の認定を受ける際の貢献達成度ポイントとして申請できる参加証も配布されました。